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2006年4月 7日 (金)

池田清彦「環境問題のウソ」を読む:第1章(5)

やれやれ、やっとパソコンが復旧した。結構時間がかかってしまった。まあデータの消失がなかったのは不幸中の幸いか。ではひき続き「環境問題のウソ」を読む、の続き。

第2節:温暖化は昔もあった

この節では、千年から数百万年のオーダーで過去の気温を紐解き、昔も暖かかった時期もあるので、現在温暖化が進行しているからといって、その原因が即二酸化炭素であるとは言えない、と主張している。

この節はツッコミどころが少ないので、さらっといこう。

ホッケースティック問題

まずは千年単位の気候変動を論じている。要はホッケースティック問題というやつだ。この問題についてはこちらがよくまとまっているので、詳しく知りたい方は参照されたい。簡単に説明すると、IPCCで採用された年輪の分析による千年単位の気温の変動のデータは実情を反映していないのではないか、という問題だ。さらには元データが同じでも結果が違ってくるという問題もある。この問題については現在も論争が続けられている。個人的には年輪による分析は未だ発展途上と考えた方がよいように思う。

次に出てくるのは珊瑚礁の分析による水温の変動のデータだ。

この方法によるニューカレドニアの珊瑚礁の一七世紀からの分析結果を見ると陸上の気温より変動は少ないようだし、変動パターンも少し違う。(図4)。一九五〇~六〇年頃が水温が一番高くて、陸上のパタンとは一致しない。海中と陸上では温度変動のパタンが違うとすれば、地球表面の温度を決める要因は複雑で、CO2の増大イコール地球規模の温暖化といった単純な話にはならない、と考えた方が合理的だ。

p19-20

海中と陸上の温度のパタンとは一致しない、と単純に決めつけてしまっていいのだろうか。珊瑚のデータは1点であるのに対して、年輪や温度計のデータは平均値だ。以前も見たように、平均で見ると気温は上昇しているが、ここのデータを見ると必ずしもそうではなく、結構ばらついている。ということは、海水の温度だってばらついていたっておかしくない。比較するなら全球の気温と海水温、あるいはその地点での気温と海水温を比較しなければいけないだろう。ある地点の海水温と全球の気温を比較しても大して有益な情報は得られないだろう。

その次はさらに昔の気温の変動について紹介している。これについては特になし。

(4/12追記)

気象庁の「海洋の健康診断表」のページで海面水温の長期変化傾向(全球平均)を見ることができる。これを見る限りでは海面水温と陸上の気温との差はそれほどないように思える。

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コメント

安井至先生のサイトでも、『環境問題のウソ』が取り上げられています。タイトルは「環境問題のウソ」ウソです。

http://www.yasuienv.net/TellALie.htm

投稿: おおくぼ | 2006年4月18日 (火) 00時48分

情報ありがとうございます。途中まで読みましたが、だいたい似たような論調ですね。「環境問題のウソ」のウソっていうタイトルは実は私も考えたのですが、嘘って言葉は意図的に騙すというイメージが強いのでやめました。筆者が事実とは異なると知りながら読者を騙そうとしているとは思えなかったので。それに、一応それなりに正しいことも書いてはあるし。

投稿: hechiko | 2006年4月19日 (水) 18時37分

他人の主張を深く考察せずに批判したことに、近い内に後悔させられますよ。

投稿: スパイラルドラゴン | 2008年7月24日 (木) 21時31分

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