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2006年3月 6日 (月)

池田清彦「環境問題のウソ」を読む(2)

なんでもかんでも「お上の陰謀」

この本を通して書かれているのは「環境問題はでっち上げが多く含まれていて、それには役人や役人とつるんで儲けている人たちの思惑が見え隠れしている」というものだ。

一言で言うなら、お上の陰謀、というわけだ。

実例を挙げよう。

第一章 p.50

温暖化抑制というほとんど実効性のない政策のために、日本だけで毎年一兆円も二兆円もドブに捨てられたのでは国民はかなわない。それで食ってる一部省庁の役人や環境関連の企業はうれしいかもしれないけどね。

第二章 p.84

ダイオキシン法が施行されて得をするのはまずハイテクの焼却炉を作るメーカーであり、ダイオキシンを分析する業者であり、監督官庁の役人だろう。だからこういった人たちがグルになって、ダイオキシン法を作りたいと思ったとしても不思議はない。

第三章 p.121

ブラックバスが食用魚として市場性があることになれば、わざわざ税金を使って駆除しなくとも、、タダで捕ってくれる人が現れることになる。ブラックバス駆除派の人々にとってもそれはとってもいいことだと僕は思うんだけど、実はとっても悪いことらしい。なぜって、ブラックバスを駆除して税金を使おうという利権が消えちまうものね。

第四章 p.135

環境省は環境を守るふりをする役所であって、環境を守る役所でないってことはよく覚えておこうね。

確かに著者の指摘するとおり、こういった環境問題には官庁の利権が絡むというのはおそらく一面の真実ではあるだろう。しかし、官庁がそういった利益確保を主目的として動いている、というのは根拠のない陰謀論に近い。

どうして著者は、環境問題を必要以上に問題だと主張する人たちは利権が絡むからそう騒ぎ立てているだけなのだ、という推測だけして、環境問題を必要以上に問題ないと主張する人たちは利権が絡むからそう騒ぎ立てているだけなのだ、という主張をしないのだろう?もし環境問題を利権が絡んでいるだけだとするならば、大変じゃない大変じゃないと騒ぎ立てている人たちの中には、将来を心配しているまじめな人たちもいるんだろうけれど、根が不真面目で疑り深い僕は、環境問題って実はやっかいな問題で、これで損をする人たちが大変じゃない大変じゃないと騒いでいるんじゃないかと勘ぐっているわけです、などと言ってみたりもできてしまう。

私が思うに、環境問題を論じる人は、楽観論者にしろ悲観論者にしろ行動規範は次の3タイプに分けることが出来ると思う。

1.事実を元に、社会のための主張を行うタイプ。新しい事実が判明する度に結論を修正する。

2.事実関係を重視せず、自己の利益のための主張を行うタイプ。始めに結論があり、それを変更することはない。またそのためには事実をねじ曲げることも厭わない。

3.タイプ1あるいはタイプ2の人に振り回されるタイプ

著者は少しタイプ2の人間を強調しすぎているのではないだろうか。実際は楽観論者にしろ悲観論者にしろタイプ2の人間はそれほど多くはないと感じている。

ちなみに著者自身は、少なくとも専門外の地球温暖化、ダイオキシン問題についてはタイプ3に近いだろう。後半の生態系の問題辺りだと、タイプ1と2が半々程度か。ネタ本の著者である渡辺正や伊藤公紀なんかはタイプ1に近い。私自身はタイプ1でありたいと思っている。

つづく

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コメント

私は2番目のタイプです。でも事実を曲げることは、しないよう努力しています。その理由は、世間が一つの主張を疑わずに受け入れる傾向が嫌いだからです。テレビを見ていると、一つの主張が普遍的な真理だ、というような報道が多いような気がします。実際は丁寧に見ると、そんなことは全くないのですが。だから、これは印象です。

けれど、例えばダイオキシン猛毒説にしても異論は少数派で、ほとんどの人は知りません。だから私は少数派の主張を宣伝をして、多数派の主張を無批判に信じている人々に対し、「疑うということ」と「自分で考えてること」をすすめているつもりです。

あと結論先に有りで書いていまずが、根拠になるデータと理屈の提示は重要だと考えています。ただ最終的な判断は読者であるというのが、私のスタンスです。だからhechikoさんのスタンスとは、かなり違いますね。

ところでこちらのブログは、人気blogランキング「環境問題」で48位(up中)ですね。

投稿: おおくぼ | 2006年3月 8日 (水) 11時30分

世間が一つの主張を疑わずに受け入れる傾向が嫌いで、少数派の主張を宣伝をするのなら、「ダイオキシン猛毒説は誤りである」という意見が多数派になったときはどうするのでしょうか。今度は少数派の主張を宣伝するために「ダイオキシン猛毒説は正しい」という主張を行うのでしょうか。もしそうなら、それは無批判に信じている人々とは逆の行為をするだけの単なる天の邪鬼であり、「自分で考えること」とは対極をなす行為です。一見無批判に信じる人たちとはひと味違った意見を持っているように見えますが、自分の頭で考えずに他人の行動によって自分の行動を決定するという意味ではまったく同レベルの思考でしかありません。単に方向性の符号が違っているだけ。そんな行動は「疑うこと」「自分で考えること」に対する反面教師にはなっても、お手本にはなりえません。

それから、ダイオキシン猛毒説に対する異論は少数派だ、という認識は既に現状認識としては古くさいものです。少なくとも専門家や行政のレベルでは一昔前まで言われていたような脅威論を振りかざす人はもはやほとんどいないといってもいいでしょう。一般の人たちの認識も以前と比べてだいぶ変わっていると思います。

また、結論先に有りで書くことは普通はありません。よほど自明なことでない限りそんなことはしません。そのような例があるというなら、具体的に箇所を示してください。根拠になるデータと理屈の提示は重要だ、ってのは言うまでもなく当たり前の話ですね。誰が何を書こうが、どんな結論を書こうが、最終的に判断するのは読者です。判断するためにはデータと理屈の提示は必須です。

人気blogラキングはそもそも人を呼ぶための手段として加入したので、ランキングを上げることが目的ではないです。だからランキングは私にとっては単なるバロメーターですね。

投稿: hechiko | 2006年3月 8日 (水) 19時15分

私の書き方が悪かったので、誤解を招いたみたいですね。

「結論先に有き」で書いているは、私のブログのことです。これは私が2番目のタイプであることから、わかると思ったのですが・・・。

あと訂正というか、補足をします。私が少数派の立場を好んで選びます。でも私は支持した説を信じています。だから、ただ少数派だというだけでは選びません。これについては、明らかに私の書き方が悪かったです。

ところで私はお手本になるつもりはありません。ただ多数派の主張を「疑うがい」、そして「自分で考えること」のきっかけになればと思ってるだけです。私の真似をすることは期待していません。

ところでダイオキシン脅威論は少なくなりました。しかし多くの学校の焼却炉が撤去され、焚き火が禁止され、高温焼却施設が出来たのは、ダイオキシン猛毒説の影響です。またビニールやプラスチックが燃えないゴミの分別されるのもダイオキシン猛毒説の影響です。hechikoさんが対象にしている人と、私が対象にしてる人が違うのかもしれませんが、私には多くの人がダイオキシン猛毒説を信じているように思えます。

投稿: おおくぼ | 2006年3月 8日 (水) 20時55分

自分のコメントを読み直しましたが、私の書き方がひどいですね。これは誤解を招きます。

>(私は)結論先に有りで書いていまずが、根拠になるデータと理屈の提示は重要だと考えています。ただ最終的な判断は読者であるというのが、私のスタンスです。だからhechikoさんのスタンスとは、かなり違いますね。

「(私は)」をつけ加えて読んで下さい。

投稿: おおくぼ | 2006年3月 8日 (水) 21時13分

「結論先に有り」の件は了解しました。

正直言って、私はおおくぼさんが2番目のタイプを自称するのかよくわかりません。2番目のタイプとはだいぶかけ離れているように思えます。少々うがった見方をするならば、単に少数派を気取りたいだけなんじゃないかとも思えます。

投稿: hechiko | 2006年3月 9日 (木) 20時18分

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