池田清彦「環境問題のウソ」を読む(1)
今回は本のレビュー。読んだ本はこちら。
環境問題のウソ
ちくまプリマー新書 池田 清彦 (著)
読後の印象を一言で表すと「ネタ本の劣化コピー」だった。
著者自身があとがきで書いているように、この本の前半は著者の専門分野ではなく、そのネタの多くはネタ本からのコピーだ。それだけならいいのだが、所々に著者自身の問題のあるオリジナルな主張を織り交ぜてくる。例えば、「820年分のダイオキシンを摂取しなければ、半致死量には届かないということだ。普通の生活をしている限り、ダイオキシンで死ぬことはあり得ない。」など。もちろんこれは明らかに間違っている。
大した問題ではないのに「問題だ問題だ」と騒ぎ立てるのは問題だが、逆もまた然り。多少なりとも問題があるのに「なんの問題もない」と騒ぎ立てるのもやはり問題なのだ。
この本の内容全てが間違っているわけではないが、懐疑論に興味がある方はむしろネタ本の方を読むことをお勧めする。
つづく
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コメント
この本については、前にアマゾンのカスタマレビューに感想を書きました。自分のブログに書いても買う人はゼロだと思ったので。
投稿: おおくぼ | 2006年3月 1日 (水) 00時32分
アマゾンのカスタマレビュー読みました。私も書きました。
自分のブログの常連が買うのはたいして期待できないでしょうが、検索で来た人の参考にはなるかと思います。
投稿: hechiko | 2006年3月 1日 (水) 19時37分
『環境問題のウソ』についての批判的な書評を見つけました。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~masudako/reading/ikeda2006.html
増田先生のサイトです。同意はしませんが、誠実な書評だと思います。
投稿: おおくぼ | 2006年3月 5日 (日) 00時40分
情報提供ありがとうございます。読みましたが、気候変動の研究についての科学史的な解説は勉強になりました。
投稿: hechiko | 2006年3月 6日 (月) 20時13分
Amazonで書評をお見かけしたのでやってきました。池田本の感想はhechikoさんとまったく同じです。"環境問題のウソ 劣化コピー"のキーワードでググると、某所に私が書き込んだものが出てきます(笑)。
投稿: Si | 2006年3月 9日 (木) 18時13分
実は私も書評を書いた後でSiさんの感想を発見してました。この話題についてはもう少しネチネチ弄ってみるつもりです。
投稿: hechiko | 2006年3月 9日 (木) 20時22分
リバタリアン池田氏の本を少し読んでいる者なのでやや池田バイアスがかかっているかも知れませんが、「環境問題のウソ」p29-30に「地表から出て行こうとする熱の95%以上はすでに存在する温室効果ガスでブロックされて、地表方向に再放射されていることだ。という意味は、温室効果はあと数%で飽和に達し、温室効果ガスがどんなに増えてもそれ以上温暖化しないということだ。今から7000万年近く前の白亜紀には、CO2の濃度は現在に比べ5倍以上あったと考えられているが、平均気温は6度程度高かっただけらしい。だから、CO2がどんどん増えても、毎日、40度近くの灼熱地獄にさいなまれるなんてことはない」という一節があります。
エコバブルを懸念する私はこの池田氏の所論に組みしたいのですが「温室効果はあと数%で飽和する」というのはデタラメなのでしょうか。教えてくださいませんか。
投稿: 330ci | 2009年1月28日 (水) 17時32分
ごめんなさい。上記投稿3行目~4行目の「ことだ」はトルツメです。
それと、ろくでもないスポンサーリンクおやめなさい。とってもさもしい。
投稿: 330ci | 2009年1月28日 (水) 17時57分